高齢化が進み、介護職は今、人手不足に陥っている。そのため未経験者であっても受け入れるケースが増えており、まだ経験を積んでいない介護職も多い。経験が無いことに不安を募らせる新人も多いだろうが、それは高齢者にとっても同じことだ。そこで、介護する側とされる側の両方が安心できる、介護をする上でのポイントを2つ紹介する。
まず、介護職が真っ先に注目するべきは、高齢者の残存能力だ。寝たきりの人は9割が動けるという話があるが、実際に介護側が過保護に接してしまい、高齢者の「出来る事」を奪ってしまっているケースが多い。自力で体を起こせるなら少し手を貸すだけにする、自分で車椅子を運転できるなら見守るだけに留める、基本だが介護する上で非常に大事なことだ。
また、長く介護職を続けている人でも、高齢者への接し方が不適切なことがある。たとえば小さいこどもを相手にするような口調や友達同士のような馴れ馴れしい口調などだ。対して気にしていない高齢者の方もいるが、自尊心を傷つけられる方が多いというのが現実である。畏まり過ぎるのも失礼だが、相手が気に留めていないようだからと言って、気安い接し方をしないように注意すること。相手の意思を尊重することを常に意識して、「上から目線」になってしまわないように心がけよう。
過保護に接したり不適切な対応を続けていると、高齢者の自立心や能力を損ねてしまうことになりかねない。高齢者一人一人の能力を正確に把握できる観察力を養うこと、介護職としての高齢者とのコミュニケーションの仕方を学ぶことが大切だ。なお、この他にも介護職としてできることはたくさんあるため、それらについて調べて実践していくことが、高齢者に安心してもらえる介護職になる近道と言えるだろう。